花・苗・観葉植物栽培の仕事は、種を植え付けることから始まり、植物を育て商品として出荷するまでを行います。このような仕事を花卉(かき)ビジネスといいます。
花卉ビジネスは大きく分けて鉢物、切花、球根、苗の4種類に分けることができます。実際の仕事としては土作り、種まき、苗の植え付け、肥料や水やり、防虫剤の散布、収穫、梱包、出荷、温室の場合は室内の温度管理などが主な業務です。育成する植物によっては出荷の時期や育成方法、育成温度の違いなどがあり、それぞれに合わせた管理や手入れが必要となります。その他にもビニールハウスの設置や施設の設営、運搬など、力仕事を行うこともあります。
また、品種改良に力を入れている花農家や事業者の場合は、品種改良に携わる仕事に就くこともあります。新しい植物の品種改良ができて無事出荷できた時の達成感は、なによりも嬉しくとてもやりがいのある仕事だと言われています。さらに、パートや研修生などを多く受け入れていて大規模に植物栽培を行っているところでは、社員はそれらの人たちの管理業務も行うことがあります。
花卉ビジネスの経営者の年収は様々です。年収1000万円を超える大規模農家もあれば、年収100万円程度でサイドビジネスを行っている小さな農家もあります。どのような経営者のところに就職するかによっても給料は違ってきますが、未経験者でだいたい月収15万円~20万円くらいが相場です。賞与があるところもありますが、農家によってその額は様々です。自然災害などで大きく収益が違ってくることもあるため、その場合は賞与に大きく影響してくるでしょう。
その他にも雇用保険、労災保険、健康保険、厚生年金などが支給され、残業、休日出勤手当てなどきちんと支払われるところがほとんどです。週休2日の交代制で実働8時間が一般的で、一般のビジネスマンと大差はありません。寮や社宅などを用意してくれるなど、複利厚生が充実しているところもあります。中には普通自動車免許を持っている人、PC経験者などを求人する場合がありますが、何か資格や特技がないと全く就職できないという訳ではありません。品種改良やバイオテクノロジーに関連する分野の仕事の場合は、大学卒や大学院卒であることが必要となってきます。
花卉ビジネスに合う人物とは、第一に「植物を大切に思う」ことができる方です。植物に対しこのような気持ちを持てない方には、なかなか厳しく大変な仕事だと言えるでしょう。経験者は優遇されますが、未経験者でも本気でこのビジネスに携わりたいという「熱意」がある方は歓迎されます。
植物も生き物で、時には病害虫に侵されたり、台風などの自然災害で多大な被害を受けたりすることもあります。そのような場合は迅速に対応できる「判断力」が必要です。また、指示されたことを忠実に行動できる「実行力」が求められることもあります。
ハウス栽培で植物を育てている場合は、きちんとした温度管理が必要となります。ハウス栽培には「正確さ」が必要であり、「責任感」が求められるでしょう。また、多くの社員やパート従業員を抱えているところでは、それらの人々との会話が重要となってきます。「コミュニケーション能力」や「問題解決能力」なども必要となってきます。いずれにしても初心者や未経験者にこのような能力をすぐに問われることはありません。
少なくとも最初に述べた「植物を大切に思う」心さえあれば、この業界で働くことはできます。長くこの花卉産業で働いていきたいという方は、働きながら少しずつ身につけていくといいでしょう。