日本の養鶏飼育の仕事は、設備が機械化され、徹底された衛生管理の元でシステム化された体制を取っている大規模経営飼育がある反面、昔ながらの放し飼いの自然飼育を行っている農家など飼育方法が違ってきています。いずれにしても命を預かる仕事ゆえの責任感が求められ、十分やりがいがある仕事としてこれからも注目され続けている職種です。ここでは、養鶏飼育の仕事について詳しく見ていきます。
生き物を扱う仕事ですので、「鶏を大切に育てることのできる方」というのが絶対条件となります。併せて「責任感のある方」「衛生管理がしっかりできる方」が飼育者として必ず求められます。何もない大自然での養鶏場が仕事場の場合は、「田舎暮らしのできる方」なども求められるでしょう。また、共同作業が多い場所では、他の人との「協調性」や「コミュニケーション能力」も必要となってきます。この業種では、特別な能力や資格、技術などは特に必要としません。普通車の運転免許を持っていると便利ですが、それも絶対条件ではありません。誰もがすぐに仕事に就くことができやすく、初心者でもこの業界に入っていきやすいというのが特徴です。
また、鶏のエサ用の野菜作りを自家農園で行っている飼育農家もあります。鶏のフンは野菜作りには最適な肥料になるので、養鶏飼育の仕事と同時に肥料作りや野菜作りの仕事も求められることがあります。鶏の飼育も野菜作りも非常に手間がかかり、世話が大変ですが、同じように「生き物を慈しむ心を持った」方が求められるでしょう。
養鶏飼育の仕事は大きく分けると、食肉養鶏と採卵養鶏の2種類があります。さらに、大規模機械化された養鶏場で行うブロイラーと呼ばれる養鶏飼育と、ブランド地鶏のような小規模で手間のかかる育て方をした付加価値付きの養鶏飼育に分かれます。大規模養鶏の場合、機械化や自動化が進んでいるため、実際の業務は機器の管理、点検、数値に基づいた予測算出、養鶏生産計画などを行うことが主な業務になります。小規模養鶏飼育の場合は、事業者ごとにそれぞれ独自に考えられた特徴のある飼育方法を実施しているところも多く、手間がかかる仕事ですがブランド鶏として高く評価・取引されるため、とてもやりがいのある仕事です。
採卵養鶏の場合は、自社で卵の洗卵・選別・包装を行う施設（GPセンター）を持っている場合は、洗卵、梱包などの仕事があります。大規模なGPセンターの場合は、社員が直接洗卵や梱包などの作業を行うことはあまりせず、実習生やパートさんなどがその業務を行います。社員は機器の管理や点検、人事管理などを行う仕事の方がメインとなることが多く、管理者としての能力が求められるでしょう。
月給は未経験者の新人が18万円～22万円程度で、平均すると20万円前後で募集されることが多い業界です。ほとんどの飼育会社では雇用保険や健康保険、厚生年金、労災保険などがあり、一般の会社と同じように複利厚生が充実しており、安心して仕事に没頭できる環境になっています。中には通勤手当、住宅手当、大型免許手当などを出す養鶏飼育会社もあります。初心者でもOKのところも多く、普通自動車運転免許を持っていると歓迎されますが、特に必要というわけではありません。養鶏飼育の経験者や大型普通免許などを持っている方は何も資格を持っていない初心者よりも採用されやすい傾向にあります。
生き物を扱う業種なので年中無休で朝が早いという仕事に思われがちですが、週休2日の交代制で早めの朝7時か8時開始の実働8時間体制で行っているところが多く、通常のビジネスマンとほとんど変わらないような勤務実態です。残業に関しては、緊急事態や当日中に終わらせなくてはならない仕事などが発生した場合は求められることもあります。その場合でも残業代としてきちんと支払われる仕組みを取っている会社がほとんどです。
