医療・介護・福祉の分野で活躍する職業は、
実に多彩です。
ここでは、全国どこにでも需要があり、パートやアルバイト、派遣社員として働くことも可能な『助産師』と『栄養士』に焦点を当てます。
それぞれの仕事内容について、やりがいと身につくスキル、必要となる資格とステップアップ、求められる人物・能力を詳しくみていきましょう。
助産師は、産婦さん(出産前後の女性)をサポートする仕事です。
助産師の国家資格は女性のみ取得が許可されていて、看護師免許を持っていることが前提となっています。自分が担当した産婦さんが元気な赤ちゃんを産むのを間近で見られるのは、この上ない喜びです。また、未成年への性教育の指導を通して、出産の低年齢化に伴う、望まない妊娠・出産を減らすことができれば、大きなやりがいを感じられるでしょう。
しかし、夜勤の回数が増えることがあったり、休憩が取れにくかったりと相当ハードな勤務になります。食事に気を遣うなど、自己管理能力が磨かれるでしょう。
栄養士は、栄養のプロとして病院などで食事の管理や栄養指導をする仕事です。
食事の管理は、食事指導や献立作りなどを行います。
栄養指導では、糖尿病の人などにバランスのとれた最適な食事をカウンセリングします。栄養士は、栄養とのバランスを考えながら美味しく作る工夫をしなければなりません。『あなたの食事は美味しかった』と自分の作った献立を利用者が喜んでくれたら、大きなやりがいを感じられるはずです。
栄養のプロとして、どのような食事が適正かを医師たちに対してしっかりと伝える必要があります。医師たちに自分の意見を納得してもらう場面が多いため、理路整然と話すスキルが養われるでしょう。
助産師になるためには、助産師国家試験をパスしなければなりません。受験資格として、看護師資格を取得してから助産師養成校で学ぶ必要があります。助産師の資格を取得した人は、総合病院を就職先に選ぶことが少なくありません。助産師は看護師の資格を持っているため、他科で看護師としての経験を積まされてから産科へ配属されることがあります。初めは看護師として採用されても、産科とは違う業務を体験することで、幅広い知識や技術を習得することができるでしょう。
看護師と違い、開業権が認められているため、経験を積めば助産院を開業することもできます。
栄養士の資格は、栄養士養成課程のある大学や短大、専門学校を卒業すれば、無試験で取得することができます。
栄養士の働く場は、食事の管理よりも調理に近い業務が多くなっています。主に病院や学校、企業の社員食堂など、食事を提供する施設がメインの職場です。
委託給食会社から事業所に派遣されて給食業務を行う栄養士もいます。
食品メーカーなどで開発や研究を行ったり、自衛隊に勤務したりする栄養士も珍しくありません。
上級資格の管理栄養士にステップアップを図れば、さらに活躍の場を広げることができるでしょう。
助産師は、赤ちゃんが好きで、泣いている赤ちゃんと接していても全く苦にならないという人に向いているといえるでしょう。ただし、赤ちゃんが可愛いからという理由だけで助産師は務まりません。不幸な事態に直面した場合でも、沈着冷静な態度で、しっかりと現実に向き合える強い精神力を持っていることが助産師に求められています。
助産師は、昼夜の別なく出産に立ち会わなければなりません。陣痛から出産まで何時間もかかることもあり、その間はかなりの緊張を強いられ、体力を消耗します。助産師を目指す人は心身ともにタフであることが望ましいでしょう。
栄養士は、調理や栄養指導を行うだけではありません。利用者の要望や好みを聞くことも大切な業務となっています。いろいろな人の話を聞くことが苦にならないコミュニケーション能力の高い人は栄養士に向いているでしょう。
海外の栄養士から学ぶことは少なくありません。海外の栄養士に関する情報を収集して、ふだんの業務に役立てることがあるため、英語などの語学力があることも栄養士に求められています。
栄養士は、日本栄養士会の研修に参加するなど、栄養士の地位向上に貢献することも欠かせません。積極的に栄養士の役割を広げるアイデアを出せる人も栄養士に望ましいといえます。
助産師と栄養士は、医療・介護・福祉業界以外でもニーズがあり、社会に不可欠な重要な仕事といえるでしょう。